地球表層の地形や自然環境はどのようにして形成されてきたのでしょうか。また現在どのように変貌してきているでしょうか。当分野では、海岸・沿岸域、低地・平野や台地の地形に着目し、それらを構成している堆積物を解析することによって、その歴史(地史)や成因を解き明かすことを目指しています。
海岸・沿岸域の地形の多くは、約12万年前の現在と同じように暖かい時期(最終間氷期)から海水準が最も低下した約2万年前(最終氷期最盛期)、その後の温暖化に伴う海水準の上昇などを経て形成されてきました。海水準の変動に加えて、河川や海岸侵食で運搬される土砂量、アジアの気候の特徴であるモンスーンの変動、また近年の人間活動の影響等にも大きく支配されています。反対に、海岸・沿岸域の地形や地層を詳しく調査し、その変動に対して細かく年代を入れることで、過去の地形や古環境の変遷を知る事ができます。
沖積平野と呼ばれる日本の平野や低地、メコン河などのアジアの大河川がつくるデルタ(三角州)、台湾の沈降堆積盆、世界各地の海浜や海岸砂丘、これらを対象に研究を行っています。
海岸・沿岸域において、現在に至る過去からの変遷を知る事は、現在の環境をより正しく理解・評価し、持続的な社会や自然と共生する社会、さらには地震動などの地質災害の軽減に向けて対応や対策の基礎になるものです。
当分野は、つくば市にある国立研究開発法人産業技術総合研究所において連携講座として実施されています。
教員HP
田村 亨 教授(産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地質情報研究部門)
清家 弘治 准教授(産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地質情報研究部門)
水落 裕樹 准教授(産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地質情報研究部門)